研究概要 |
グリーンフェイス系材料では、ナノ結晶構造解析によりR_2O_<11>多画体内のR-O間の結合強度変化が比誘電率及び誘電率の温度係数と密接な関係を有することが明らかにされた。さらに、Cuサイトの遷移金属置換によりQ・f値の改善が認められ、特にzn置換ではQ・f=165000GHzが得られている。これらの知見に基づいた組成制御により、Sm_2Ba(Cu_<1-x>Co_x)O_5において[]_γ=16,Q・f=89000GHz、[]_f=-9ppm/℃が得られることが明らかとなった。コランダム系材料では、NbのTa置換によりQ・f=347000GHzを持ち、アルミナに匹敵する高Q材料が得られている。さらに、分子軌道法によりTaO_6八面体内部の結合強度変化が高Q化に重要な役割を果すことが示唆された。また、近年の通信機器の小型化および高性能化に対する要求があり、積層タイプのデバイスの開発が急務である。このためAgとの同時焼成が可能な高いQ・f値を有するLTCC(Low-tempefature co-fired ceramics)が求められている。本研究では、特にコランダム系材料において、LiF添加による低温焼成化の効果が顕著に認められ、850℃においてQ・f100000GHz以上の値が得られているために高Q・LTCC材料として考えられる。さらに、温度特性を行い、Q・f値が低下するもののτ_f=0ppm/℃に近い特性が得られる事が明らかとなった。また、これらの組成系以外に、ナノ結晶構造解析に基づき、基地局に適したマイクロ波誘電特性を持つエシナイト系誘電体材料やMgO-V_2O_5の2成分系から成る高Q・LTCC材料が創製されており、エシナイト構造ではNbサイトのWおよびTiの置換によりQ・f値の大幅な改善が認められ、従来のエシナイト系材料より優れた誘電特性が得られている。
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