研究概要 |
FRPエネルギ吸収部材の設計指針を確立するため、材料設計、構造設計、成形設計の観点から下記の検討を行なった。 (1)材料設計:材料面における設計指針 昨年度に引き続き、様々な構成材料および様々なテキスタイルを強化形態とする繊維強化複合材料を用いて、静的圧縮試験を行い、エネルギー吸収特性を検討した。具体的には、強化材としてガラス繊維および炭素繊維を、強化形態として多軸挿入編物および組物を検討対象とした。 (2)構造設計:自動車等への実適用に向けた設計指針 従来エネルギ吸収部材には円筒が用いられてきたが、他部材(金属材料等)との接続を考慮した複合材料のクラッシング性能を検討するため、角筒についても同様の検討を行い、エネルギ吸収メカニズムを解明した。 さらに、本来複合材料は一端にテーパを施すことによってProgressive Crushingを生じ,高いエネルギー吸収特性を示すことができる.しかし,構造部材として利用する際には,テーパを持つ複合材料部材は他の部材との組み合わせは困難である.そこで,逆にテーパ付きジグを用いてテーパを持たない複合材料を破壊させる手法を提案し,その有効性を検討した. (3)成形設計:成形面における設計指針 新たに設計する引抜成形機を、テキスタイルを強化形態とする複合材料の成形に適用する事により高生産・低コスト化を図ることを目的とする。特にここでは、汎用的な熱硬化性樹脂複合材料の引抜成形技術ではなく、開発が望まれている熱可塑性樹脂複合材料の引抜成形技術の開発を行なった。本年度は、熱可塑性樹脂複合材料のための引抜成形機を設計・試作し、ロッド形状炭素繊維強化ナイロン複合材料の成形を行い、引抜成形が可能であることを確認した。
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