研究概要 |
今年度は,Mg-Ni合金とTi-Cr合金に焦点を絞り,表面改質による水素化速度の改善を検討した. Mg-Ni合金では,Mg-Mg_2Ni共晶合金の水素吸蔵放出特性は微細組織に関係し,この合金中における水素の拡散はMg_2Ni相の存在により増加するともに,その形状に依存することを示し,測定温度400℃において6.3mass%もの水素吸蔵量を示す熱処理条件を得た.さらに,水素吸蔵温度の低温化を図るためにハイブリダイゼーション処理によるニッケルコーティングを行って表面改質を行うことにより,水素化速度は劇的に改善されること明らかにした. Ti-Cr合金では,室温において最大水素吸蔵量3.5mass%を示すBCC単相としたTi_<50>Cr_<50>合金中の水素分布をトリチウムラジオルミノグラフ法により観察し解析することにより,表面効果の影響を受けない水素の拡散係数の決定を行って水素化挙動を解析した.さらに水素吸蔵量を増加させることを目的としてチタンリッチとしたTi_<60>Cr_<40>合金を作製し,水素化挙動を調べた.この合金では水素吸蔵量は増加するが表面酸化物の影響により水素の吸収が妨げられるという欠点があるが,ハイブリダイゼーション処理による表面改質を行うことにより水素化速度は向上することを示した.
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