研究概要 |
TiAl合金は,次世代の軽量高温材料として注目されている。この材料はα_2Ti_3Al相とγTiAl相からなる層状組織をとる。この材料は層間隔を微細化すると強化される。しかし,層間隔がある程度以上減少すると強度が上限に達し,それ以上強化されなくなる。本年度は,強度の上限値を向上する方法を検討し,次の成果を得た。 1.転位の層界面への堆積によるすべり伝達モデルを使って,TiAl層状組織材料の降伏応力と層間隔の関係について,シミュレーションを行った。その結果,ミスフィット転位の導入限界を微細な層間隔側にずらして層間隔微細化による強化の上限を上げるには,少なくとも15%の格子ひずみ(無添加材で現在0.8%)にする必要がある。 2.Ti-Al-M系の3元状態図情報に基づいて,添加元素Mのα_2およびγ層への分配割合,相など第3相が生成されない限界M濃度等について調査した。その結果,格子ミスフィットを増大しうる添加M元素として,NbとZrを選択した。 3.TiAl-Nbおよび-Zr合金について,合金試料を作成し格子定数を測定した。その結果,Nb添加合金では,γ層のc/a比が増大し,一方向のみではあるが,1.5%の界面での格子ミスフィットを得た。この材料について,ミスフィット転位導入の限界層間隔が微細化されること,界面転位密度が増加することを確認した。今後は,この材料を使って,強化の上限向上の立証へと発展させる。
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