研究課題
基盤研究(B)
多くの電子セラミック多結晶体は、粒界に形成された静電ポテンシャル障壁(二重ショットキー障壁)に起因したPTCR特性、バリスタ特性などの特異な電気特性を示す。この障壁は、バンドギャップ中に形成された捕獲準位にキャリアとなる電子が捕獲されることにより形成されると考えられている。本研究では、単一粒界から構成される双結晶を作製し、その結晶粒界構造と粒界方位関係との相関性を系統的に調べ、二重ショットキー障壁形成のメカニズムを明らかにするとともに、顕著な電気特性を得ることのできる方位関係を突き止めることを目的とした。試料にはNb添加SrTiO3およびPrやCoを添加したZnO双結晶を用いた。傾角粒界においては傾角が数度の小傾角粒界を作製しその粒界構造を高分解能観察法により解析したところ、いずれの粒界もバーガースベクトルを[001]とする刃状転位から構成されることが見出された。その粒界転位密度は双結晶の傾角に依存し、傾角が増大するに従い粒界転位密度が増加すること、および、粒界電気特性で認められる電圧-電流特性における非線形指数が増大することが分かった。この関係をさらに詳細に調べたところ傾角成分がある角度において極めて顕著な特性が発現することを突き止めた。これは、粒界転位配列が転位コアエネルギーの影響でシフトタイプに変化しそのため粒界に高い応力場が形成されたことに起因するものと考えられる。一方、PrおよびCoの添加量を厳密に制御したZnO双結晶を作製したところ、粒界にアモルファスなどの第二層が存在しない状態で高い非線形特性が発現することが明らかとなった。本研究で得られた結果から単一粒界デバイス作製に関する設計指針が得られたものと考えられる。
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