研究概要 |
HPT(High Pressure Torsion)加工は試料に数GPa以上の圧力を付加しながらねじり変形を与える強ひずみ加工法である。結晶粒の超微細化が可能であると共に、第2相粒子の分散制御に利用できる可能性がある。本研究では、HPT装置を試作して、金属材料の超微細粒化や分散制御牽行い力学特性の改善を図ることを目的としている。本年度はHPT加工が可能な装置の試作を行い、アルミニウム合金に適用して結晶粒の超微細化を試み、力学特性の評価を試みた。得られた結果は以下の通りである。 (1)直径10mm、厚さO.8mmの円板状試料に最大圧力7GPaを室温で付加しながら,最大回転速度1rpmで強ひずみ加工ができるHPT装置を試作した。 (2)このHPT装置を用いてAl-3wt%Mg-0.2wt%Sc合金に強ひずみを導入した。 (3)付加する圧力が大きくなるとともに、また回転数が多くなるとともに硬度は増加した。 (4)円板外周部の硬度は中央部に比べて大きくなった。 (5)圧力が4.2GPa,回転数5回の試料で約0.2μmの微細結晶粒が得られた。この試料を673Kの温度において、3.3x10^<-2>s^<-1>の初期ひずみ速度で引張試験したところ約500%の超塑性伸びが得られた。
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