固体酸化物形燃料電池(SOFC)は燃料種選択の自由度の最も高い燃料電池で、炭化水素系ガスなどを直接電極に供給して行う内部改質型発電も比較的容易である。燃料ガスはC、H、Oから主に構成されるために、C-H-O状態図上に燃料ガスの位置が一義的に決まり、完全平衡が成り立つ場合は、炭素析出の有無や理論起電力、ガス分圧を知ることができる。本年度は、アルコールや高級炭化水素を燃料として直接供給した際のSOFCの発電特性を測定評価することを目的とした。 まず、灯油を模擬した高級炭化水素燃料および合成灯油を直接SOFCに供給した場合と、外部改質層を介して供給した場合の発電特性および反応ガス組成を比較評価した。それらの結果および中間生成物の分析結果などを基に、性能劣化の原因についても検討した。燃料電池性能の劣化が、触媒表面での炭素析出を伴って起こることが明らかになった。 また、アルコールやバイオガスなどのいわゆるバイオエネルギー資源を利用したSOFC発電が可能になれば、再生可能なゼロエミッションエネルギーシステムを構築できるはずである。本研究では、この可能性に着目し、アルコールや模擬バイオガス燃料を供給した際の発電特性を調べ、反応ガスの分析を行った。また、熱力学平衡計算を行って、作動温度における平衡ガス組成を求めて実験結果と比較した。アルコール燃料供給時には、分解改質が容易に起こるので、直接燃料供給型SOFCが実現可能であることがわかった。
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