多様な燃料種供給時の固体酸化物形燃料電池の発電特性を調べるために、炭化水素系燃料を対象に検討を行った。まず、模擬バイオガスを直接SOFCに供給した場合、1000℃という高温作動温度では改質反応も十分に早く、直接バイオガス型のSOFC発電は可能であると考えられる。また、CH_4/CO_2が高く、S/Cが低いアノードガスを供給するほど高い開回路電圧とI-V特性が得られた。電解質膜とアノード中の電解質成分をYSZより導電率の高いSSZに変更したところ、高電流密度域でI-V特性が向上した。また、バイオガス中の代表的な燃料不純物である硫化水素の影響によるセル電圧降下は、水素、外部改質バイオガス、内部改質バイオガスの順で大きくなった。しかし、測定を行ったH_2S濃度においては0.1〜0.2V程度の電圧降下の後にセル電圧が安定することが確認できた。これらの研究から、イオン伝導性に優れるスカンジア添加ジルコニアを用いることによって多様な燃料に対応できる、よりフレキシブルな燃料電池になることを見出した。また、n-DecaneをSOFCに直接供給した場合、反応ガス組成は平衡組成から程遠く、タール等の反応生成物が確認された。一方、Ru/Al_2O_3触媒を用いて外部改質を行って供給した場合には、外部改質触媒層において水蒸気改質が促進され、セル性能劣化が抑制されることが明らかになった。
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