研究概要 |
本研究の目的は、4.4eV以上の遠紫外線を極めて高効率・高感度にセンシングする材料としてダイヤモンド(Eg=5.5eV)を提案するとともに、従来にない新しい深紫外線のフォトセンシング法を確立することにあった。2年目の本年度は、引き続きボロンドープホモエピタキシャルダイヤモンド薄膜を成長させ、金属/ダイヤモンド/金属(MSM)構造および新たにショットキー接合型構造から成るフォトセンシングデバイス構造を作製し、電気特性および光応答特性を測定した。同時に将来のダイヤモンドpn接合を用いたフォトセンシングデバイスの性能を予測するための第二段階として、n型ダイヤモンド/III族窒化物半導体のヘテロ接合におけるキャリア濃度及びドーパント濃度分布を計算することによって、電子発現機構を予測した。 この結果,以下の結論を得た。 (1)紫外/可視光ブラインド比約6桁、暗電流10fA(フェムトアンペア)以下、および整流比8桁の良好な性能を持ち、しかも500℃,5時間の熱処理後でも安定に動作するダイヤモンドを用いたショットキー性接合構造を持つ紫外光センサーの開発に成功した。これらの成果は、2件特許出願された。 (2)紫外/可視光ブラインド比約6桁および利得(ゲイン)5桁を持つ金属/ダイヤモンド/金属(MSM)型のダイヤモンド紫外光センサーの開発に成功した。これらは2件の特許として出願された。 理論的に解析することによって、ダイヤモンド/窒化物半導体(AlN,BN)ヘテロ接合構造によって電子濃度を制御できる可能性を初めて提唱し、ダイヤモンド光・電子デバイス設計の突破口を開いた。
|