研究課題
基盤研究(B)
初年度は、非線形超音波測定のための強力超音波の入射と計測のためのシステムを構築した。送信用探触子は、2kV程度の高電圧を負荷するため、市販の探触子は内蔵されているマッチングコイルが発熱し破損することを避けるため、PZT圧電素子でコイルを入れない耐圧探触子を作製したが市販品同様耐圧が低く、電極接合部の剥離と素子の割れにより安定した計測が困難だった。そこで、圧電素子を36°Y-cutLiNbO3の単結晶に変え、電極接合部も耐熱銀ペーストに変えることで8MHzにおいて2kV程度の連続計測が安定して行えるようになった。また、疲労き裂開閉に伴う非線形計測を行うためには、入力超音波変位と同程度(10nm程度)の開口の小さいき裂を作製する必要がある。本研究では、アルミ合金7075に3点曲げ試験で破壊靱性Kmaxを制御し、き裂の閉口を超音波端部反射法でモニターしながら閉口き裂を導入する方法を確立し、斜角透過測定により非線形測定が可能なことを確認した。本年度は、前年の成果を踏まえて、原子力発電機器で応力腐食割れが問題になっているSUS316ステンレス鋼に導入した疲労き裂で、非線形現象を確認すると共に、それぞれのき裂進展に伴って非線形特性に変化が見られ、側にサブハーモニック現象は、き裂性状の僅かの差異に依存して大きく変化が見られ、これから逆に、非線形特性の計測によりき裂性状が評価できる見通しを得た。また、サブハーモニック現象の成因を解析するため、き裂開口部の強力超音波の接触モデルを提案し、そのシミュレーションが実験結果と一致し、モデルの妥当性が検証できた。さらに定量的な比較を行うためには、実験で用いた試験片のき裂の開口量や形状を正確に把握する必要があるが、SEMやレーザー顕微鏡を用いた計測でも限界があり、これについては今後さらに検討が必要である。
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Jpn.J.Appl.Phys. 44-6B(印刷中)
Jpn.J.Appl.Phys. 44-6B(in Press)
Materials Evaluation 62, 9
ページ: 943-947
Rev.Progress in QNDE Vol.23
ページ: 1256-1261
Japanese Jounal of Applied Physics 43, 5B
ページ: 3082-3087
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