研究概要 |
1.有機物溶融埠から磁性体の電析条件 n-ブチルピリジニウム塩化物(BPC)-CoCl_2およびBPC-AlCl_3-CoCl_2の常温溶融塩(イオン融体)からのCo電析について,これらの基本浴組成,温度,電析電位をもとに最適の電析条件を探り,Al板に均一なアルミナのバリア層を形成した場合にはバリア層厚さが高い過電圧と不均一な電析の要因となっていることを確認した。 2.ポーラスアルミナ皮膜の生成と評価 電解研磨で鏡面仕上げしたAl基板を硫酸,リン酸,シュウ酸などの電解液とそれぞれに対応したアノード酸化電圧によって規則度の高いポーラスアルミナが生成する条件を益田(都立大)らおよび小野らによる基本的な酸化条件を参考に,条件を設定した。しかしながら,Al基板上に生成するポーラスアルミナではバリア層が残るため,均一なCo電析が困難であることがわかった。 そこで,導電性のSi基板にTi(50nm),Au(150nm),Al(2μm)を蒸着した基板を作成し,2回のアノード酸化とポアワイドニングによってバリア層を溶解してAu層に達するポアを形成するプロセス条件を決めることができた。 3.ポアへのCo電析条件の設定 BPC-CoCl_2からの電析では,浴温が80℃で常温での操作が難しいことから,BPC-AlCl_3-CoCl_2浴は常温で液体であることからこの浴での電析を試み,ポア内へのCo電析が起こる条件を見つけ出した。今後,バリア層を完全に除去したポーラスアルミナ基板の作成条件とCoを電析させたポーラスアルミナの磁気特性評価を行う。
|