1 鋼材の腐食速度のモニタリング 炭素鋼、一般耐候性鋼、海浜耐候性鋼の3鋼種の大気腐食速度をモニタリングするためプローブ電極を作製した。 モニタリングは計画通り、沖縄の新日本製鉄海浜暴露場で9月から、千葉県富津市の新日本製鉄暴露場で11月から、銚子市日本ウエザリングテストセンターで12月から、茨城県つくば物質・材料研究機構内暴露場で12月から、開始した。 遠隔操作でのモニタリングは順調に動いており、現在までのモニタリング結果では、腐食速度を時間に対して積分することにより得られる全腐食量が、炭素鋼、一般耐候性鋼、海浜耐候性鋼の順で小さくなることがすべての暴露サイトで得られた。これは他機関ですでに報告されている腐食重量減測定の結果とも対応している。一方、暴露サイトによる腐食速度の違いもモニタリングされており、沖縄、富津、銚子、つくばの順で各鋼種の腐食速度が小さくなっている。この結果は飛来海塩粒子量が少ないサイトほど腐食環境としてはマイルドであるという結果になっており、環境の違いにとる腐食速度の違いが電気化学的モニタリングにより始めて捕らえられた。 2 環境因子のモニタリング 環境因子として、温度、湿度を実測しているが、現在、実験室レベルで飛来海塩粒子量と酸性雨のセンサーを開発中である。前者はガラス基盤上に金の櫛形電極を蒸着した2電極タイプのものを使用している。すでに実験室での試験を終了して上記の4箇所の暴露サイトにセンサーを設置し測定を開始したが、いくつかの改良点がみつかり今後対応する予定である。また、開発した酸性雨センサーはタングステン電極を用いたもので実験室でのテストを終了し、今後、このセンサーにより降雨の酸性度の測定を行う予定である。 以上、実験は計画通り順調に進んでいる。
|