研究課題/領域番号 |
15360384
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
真島 一彦 富山大学, 工学部, 教授 (60029270)
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研究分担者 |
松田 健二 富山大学, 工学部, 教授 (00209553)
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キーワード | rare-earth magnets / nano-composits magnets / magnetic anisotropy / hard magnet / soft magnet / corrosion / electrochemical method / Nyquist diagram |
研究概要 |
現在、1983年に発見されたNd-Fe-B系磁石が最強の永久磁石材料として広く使用されているが、Nd-Fe-B系磁石の発見から既に20年を過ぎている。これまで10年を周期としてより高性能な磁石が出現しており、Nd-Fe-B系を超えるより強力な磁石の開発に世界各国が鎬を削っている。資源に乏しい日本がこの開発競争に負けることは産業立国としての王座を失い、大変な窮地に陥る。ナノコンポジット磁石を始め強力な永久磁石材料の開発には常に希士類磁石が関与している。希土類磁石の最大の難点は錆びやすいことである。これは希土類元素が酸素および水と激しく反応するためであり、それを含む希土類磁石の腐食挙動を測定するのは、極めて困難とされている。従って、これまでの報告では浸漬試験、即ち、どぶ漬け法による評価しかなされていない。研究代表者らはこれまで、最強のNd-Fe-B磁石の耐食性を改善すべくCo添加を試み、その評価を専門とする腐食・防食のテクニックを駆使して、分極曲線の測定により行ったところE_<corr>とCo添加量とが極めてよい関連を示すこと明らかにした。またこの結果から特に粒界相のNdをNd_3Coに置換すると母相と粒界相との間でE_<corr>の差が殆どなくなり、耐食性の向上に寄与することが確かめられた。これらの結果を先日(10月3日から9日)、ハワイで開催された電気化学に関する国際会議で発表したところ、興味あるデータだと賞賛された。ここで得た手法をもとに今回開発しようとする「超高性能希土類系ナノコンポジット磁石」に対し、インピーダンス測定を具備した電気化学的測定を行うと、試料表面と腐食溶液との界面における電気二重層の構造解明を含む電気化学的挙動が明らかとなり、磁性材料研究者の夢である「錆びない希土類磁石の作製」へと一歩近づける可能性がある。
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