研究概要 |
高度先進医療における技術革新や新しい医療機器の開発が積極的になされているが,非常に高価であることや輸入機器に頼る部分が多いことが問題点となっている.そこで本研究では,形状記憶合金やチタンなどの新素材を用い,より高品質なカテーテル,ステント,医科歯科機器用マイクロねじ,マイクロスプリング,歯列矯正用ワイヤを引抜きを中心とする塑性加工により安価で製造する技術について検討した.特に開腹手術が必要であった病気も医療用マイクロパーツを用いた機器による腹腔鏡下手術・治療が可能になることを期待したものである.本研究により得られた事柄を下記に示す. 1)医療用形状記憶Ni-Ti合金の極細管製造には,純チタンなどの軟質金属棒をマンドレルとしたマンドレル引きが有効である.焼鈍し頻度と引抜き加工条件などを最適化させ,約700μmという極細管が製造できることを明らかにした. 2)薄肉の極細管製造法として,新しい液体マンドレル引きを提案し,その有効性を明らかにした.この開発した技術を特許申請した. 3)得られた極細形状記憶合金の引抜き管にレーザ加工を行い,ステントも試作した. 4)チタンおよびマグネシウム合金製のM0.8のマイクロねじを作成することができた. 5)100μmの極細四角線の製造を明らかにし,マイクロスプリングを作成した. 6)チタンおよび形状記憶合金を用い歯列矯正用ワイヤ素線製造の引抜き技術を確立した. この研究成果はすでに産業界から注目されており,着実に新しい医科歯科用機器開発に貢献しつつある.
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