研究課題/領域番号 |
15360394
|
研究機関 | 北九州工業高等専門学校 |
研究代表者 |
山田 憲二 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (80101179)
|
研究分担者 |
中村 裕之 北九州工業高等専門学校, 総合科学科, 教授 (70172434)
松嶋 茂憲 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (80229476)
山根 大和 北九州工業高等専門学校, 物質化学工学科, 助教授 (70332096)
|
キーワード | 材料加工・処理 / プラズマ加工 / 表面・界面物性 / ナノ材料 / 触媒・化学プロセス |
研究概要 |
マグネトロン型低温プラズマ装置を用いて、酸化チタン微粒子薄膜をアルゴンプラズマ処理した後、大気開放せず連続して窒素プラズマ処理を行った。放電出力100W、処理時間2min〜10minとし、アルゴンプラズマ処理と窒素プラズマ処理を全て同条件で行った結果、プラズマ処理時間に伴って薄膜表面が平滑化する傾向を示すことをAFM観察から確認でき、プラズマにより表面エッチングが起こることを明らかにした。XPSN_<1s>スペクトルからプラズマ連続処理によりTi-N結合に起因するピークが出現することは認められるが、処理時間10minでもN-O結合、N-H結合、C-N結合などに起因するピークも出現することから、酸化チタン表面の吸着水・不純物の除去が不十分といえる。 酸化チタン薄膜のプラズマ連続処理により、アナターゼ結晶型は変化せず、酸化チタンの結晶転移は認められなかった。しかしアナターゼ(101)面の半値幅は処理時間に伴って増加し、プラズマ連続処理により結晶格子歪が増大することがわかる。結晶格子歪の増大は、結晶格子内におけるTi-N結合形成及び酸素欠陥形成によると考えられる。 プラズマ連続処理薄膜は可視光吸収を示し、処理時間5minで可視光吸収が最大となった。また可視光応答性は、可視光吸収特性に依存して処理時間5minで最大となった。窒素ドープ酸化チタンのエネルギーバンドの理論解析結果との対応から、処理時間5min程度でバンドギャップの狭窄化をもたらすのに十分な窒素ドーピングによるTi-N結合が形成していると推測される。しかし処理時間が5minを超える場合は、アルゴンプラズマ処理過程で酸素欠陥の形成が顕著となり、その後の窒素プラズマ処理過程における可視光応答性発現を抑制すると推測される。
|