研究概要 |
平成15年度に明らかにした各元素の固体SiおよびSi-Al系融液中での不純物の熱力学的性質に基づき、効率的なB除去法としてTi添加による硼化物生成除去を試みた。また、凝固精製プロセスの鍵となる固液界面物性に関しては、酸化を防ぐことのできる雰囲気調整可能な表面張力測定セットアップを作成し、固体Si基板と固体Si飽和Si-Al系溶融合金の濡れおよび界面張力測定システムを確立した。 TGZM法により測定して得たBに関する熱力学的性質と予備調査で明らかになったTiとBの強い相互作用を考慮して、数〜数千ppmBを含む溶融Si-Al合金にTiを添加し、平衡させ静置したところ、Bが非常に効率的に除去されていることが判明した。1173K、1273Kにおいて液相線近傍の融液組成のSi-Al融液へのTi添加によるB除去を確認し、TiB_2除去後のTiおよびB濃度(対数)の直線関係からTiB_2の析出により除去されていることが明らかになり、TiB_2溶解度を以下に求めた。 X_<Ti in Si-Al melt>X_<B in Si-Al melt>^2=2.4×10^<-12>(1273K, Si-60at%Al),9.8×10^<-14>(1173K, Si-65at%Al)これらの結果から、Ti濃度の制御によりB濃度を低下させるための基礎データが明らかになった。 また、Si-Al融液へのTi添加・凝固によるB除去の検討のため、MG-Siからの由来量もしくはその数倍量のB、Tiを含むSi-55.0at%Al融液(液相線温度1273Kの高周波加熱装置での冷却・凝固実験を行った。適切なTi添加量により精製SiへのTiの混入を1ppma前後に抑え、Bの数ppmaまでの低減に成功した。またMG-Siに由来するTi添加量でもB濃度低減に有効なことが示された。
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