研究課題
本研究は耐酸性が高いゼオライト分離膜を創成することを最終目的として研究を実施した。具体的には、(1)申請者が開発したシラン接触分解法により、SiO_2ユニットによりゼオライト細孔の微小化の検討、(2)ゼオライト結晶と細孔内表面にシラノールを付与することによるゼオライトの親水化、(3)ゼオライトナノクリスタル製造法の開発、(4)上記(1)と(2)を処理したゼオライトナノクリスタルを積層した親水性ゼオライト膜の調製と、炭化水素水溶液からの水の選択高速分離の実証、に分けられる。平成15年度では(1)と(2)について研究を行った。そこで平成16年度は(3)と(4)について研究を実施し、次の成果を得た。a)ゼオライトナノクリスタル製造法の開発:耐酸性を有するゼオライトとしてシリカライトのナノクリスタル製造を実施した。シリカ源であるTEOSとテンプレートを含む水溶液を界面活性剤/有機溶媒溶液に投入し、マイクロエマルション相を形成する溶液を調製した。この溶液を水熱処理してゼオライトナノクリスタルの合成を行った。その結果、結晶サイズが60nm〜1μmの範囲で制御された単分散なゼオライトナノクリスタルを得ることに成功した。b)ゼオライトナノクリスタルを積層した親水性ゼオライト膜の調製:シリカライトのナノクリスタルを平成15年度で開発した方法で処理した後、アルミナフィルター上に積層させることにより、親水性ゼオライト分離膜を作製した。この膜を用いて90wt%アセトン水溶液からの水分離を30〜110℃で実施した。その結果、膜は水のみを高速度に透過し、実際の蒸留塔の留出液の濃縮にほぼ適用できることが可能であり、高度分離が可能であることを明らかにした。
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