本研究の目的は、化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)における研磨機構解明の基礎研究として、せん断流中で形成された微粒子凝集体1個の力学的特性を測定するためのマイクロ圧縮試験装置を試作し、微粒子凝集体の圧縮変形特性に及ぼす諸因子の影響を検討するものである。本年度は、装置改良等を含め以下の点につき検討を行った。 1.ガラスファイバープローブの製作:フッ化水素酸によるエッチング及び光学研磨技術を併用した微粒子凝集体1個の圧縮試験を行うためのガラスファイバープローブ作製技術を確立した。 2.凝集体の圧縮変形挙動の可視化:レーザー顕微鏡で取り込んだ凝集体の断層画像を画像解析ソフトにより重ね合わせることにより、凝集体を3次元描写する技術を確立した。 3.圧縮試験:せん断流中で形成された(回転粘度計を使用)凝集体1個の圧縮試験を試み、本圧縮試験装置による力学的特性の測定が可能であることを確認した。 また、上記圧縮試験に先立ち、せん断流中で形成される凝集体の特性を明らかにするために、既存の微粒子凝集過程観察装置を使用し、平行円板間に形成されたせん断流中のポリスチレン微粒子凝集体のサイズ及び構造に及ぼす壁面間隔、せん断速度の影響を実験的に検討した。結果として、 1.壁面間隔の減少に伴う空間的拘束により凝集体の成長が著しく抑制される。 2.凝集体の形状は壁面間隔やせん断速度に依存せず、ほぼ球形になる。 ことがわかった。
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