研究課題/領域番号 |
15360418
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
市原 祥次 東京農工大学, 工学部, 教授 (60323747)
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研究分担者 |
斉藤 拓 東京農工大学, 工学部, 助教授 (90196006)
渡辺 敏行 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10210923)
宮田 清蔵 東京農工大学, 本部, 学長 (90015066)
曽根 正人 東京農工大学, 工学部, 助手 (30323752)
臼井 博明 東京農工大学, 工学部, 助教授 (60176667)
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キーワード | めっき / 超臨界二酸化炭素 / エマルジョン / ピンホール / 結晶粒径 / ビッカース硬度 / 超臨界ナノプレーティング / SNP |
研究概要 |
電気めっきは工業的に広く利用されているが、ピンホールの発生や廃液による環境汚染などが問題となる。そこで界面活性剤を添加した超臨界二酸化炭素中にめっき液を入れ、撹拌しつつ電気めっきを行う手法を開発し、超臨界ナノプレーテイング(SNP)と命名した。SNP法を用いると厚みが均一で表面の平滑性に優れ、ピンホールの無い膜が得られる。さらに、成膜に必要なめっき液の量も低減できる。そこで真鍮表面へのニッケル皮膜形成の実験から、SNP皮膜の微視的特性の解明を行った。 まずSNP法ではピンホールが発生しないが、これは超臨界二酸化炭素/めっき液エマルジョンの流れの中で成膜が進行するため、基板上に発生した水素が超臨界二酸化炭素に相溶して除去されるためであると考えられる。比較のために高圧力下で従来の電気めっきを行ったが、ピンホールの減少は観察されなかった。次に、SNP法で形成されるエマルジョンの流れは動的なものであり、基板表面での電流の動的な変動を起こすため、パルスめっき的効果も得られると考えられる。そこでSNP皮膜の電子顕微鏡観察を行った結果、結晶粒径が10nm程度であり、従来の電気めっき皮膜に比較して粒径が微細化していることが見出された。この結果はX線回折測定からも支持された。これはエマルジョン流によるパルスめっき的効果により、結晶粒の連続的な成長が阻止され、新たな結晶核の形成によって皮膜が成長するためだと考えられる。そこで皮膜のビッカース硬度を測定した結果、従来の電気めっき皮膜は550Hv程度であるのに対し、SNP皮膜は680Hv程度の大きな硬度を持つことが見出された。粒径と硬度の関係はホール・ペッチの関係式で記述されたことから、SNPによる硬度の増大は結晶粒が微細化を反映するものと考えられる。以上のようにSNP法は新規めっき技術として数々の優れた特徴を持つことが示された。
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