研究概要 |
アルキルチタン錯体,[t-BuNSiMe_2Flu]TiMe_2を乾燥修飾メチルアルミノキサン(dried MMAO)で活性化剤とした均一系触媒によるプロピレン重合では,ペンタン,ヘキサンおよびヘプタン中0℃でリビング重合が進行し,また,従来のdried MAO/トルエン系よりもシンジオタクチック構造に富むポリマーが得られた(シンジオタクチックトリアド(rr)=74-76%).一方,dried MMAOをシリカに担持した固体活性化剤(dried MMAO/SiO_2)を組み合わせた触媒系によりプロピレン重合を行い,均一系重合と比較検討した結果,担持系は均一系に比べ,初期活性は著しく高いが速やかに失活することがわかった。また,生成ポリマーの分子量は,均一系と比較し大幅に増大するとともに,分子量分布は広がり(M_w/M_n【approximately equal】3.5).rrは低下した。速度論的解析より,dried MMAO/SiO_2を用いると,成長反応は加速されるが失活および連鎖移動が起こることが明らかになった. プロピレン重合で見られた活性化剤の担持効果がモノマーの種類や生成ポリマーの性質に依存するかどうか調べるため,[t-BuNSiMe_2Flu]TiMe_2を用いて1-ヘキセンの重合を行った.その結果,プロピレン重合の場合と同様にdried MMAOのSiO_2担持効果が観察された。 以上,本研究では,[t-BuNSiMe_2Flu]TiMe_2によるα-オレフィンの重合において,dried MMAOをSiO_2担持することにより活性点数は減少するものの,その減少を補うほど成長反応速度が向上することを明らかにした.この結果は,活性化剤の担持により活性種の性能を向上しうることを示しており,今後,エージング等による活性点数の増大,担体や遷移金属錯体の選択による失活の抑制やイソ特異性の発現により,均一系を凌駕しうる担持型錯体触媒の開発が期待される.
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