本研究では水中の有害成分である硝酸イオンの迅速かつ低コストな除去法として新規な固体触媒法を提案し、(1)工業排水中の高濃度硝酸の高速分解と(2)飲用水のための地下水中硝酸浄化を目指す。この方法は、従来のバイオ法にとって替わる将来の浄化法と期待でき、基礎および応用研究はまさに緊急な課題である。とくに、農業地域では畑作や畜産を原因とする地下水汚染が全国的に指摘されており、地域で用いてきた井戸が危険な状況にあることが顕在化してきた。 本年度の得られた成果は以下である。 (1)工業排水の浄化 5000から10000ppmの硝酸イオンを含む排水を浄化できる触媒を見出した。ニッケルをベースとする白金との複合金属は従来触媒をはるかに凌ぐ高い活性を有し、安定性にも優れていることを明らかにした。 (2)地下水の浄化 200ppm程度の硝酸イオンを含む地下水の浄化に有効な触媒の探索をおこなった。パラジウムと銅との合金あるいはそれらのクラスタ触媒を用いて硝酸イオンを無害な窒素へ変換でききることを見い出した。
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