研究課題/領域番号 |
15360426
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大久保 達也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (40203731)
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研究分担者 |
小原 真司 (財)高輝度光科学研究センター, 放射光研究所, 副主幹研究員 (90360833)
小倉 賢 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (50298155)
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キーワード | ゼオライト / 核生成 / 結晶成長 / 放射光 / 高エネルギーX線回折 / 小角X線散乱 / in-situ測定 / 前駆体 |
研究概要 |
初年度は、様々なin-situ計測手法を駆使することにより、ゼオライトの核発生-結晶過程の原子レベルでの解明を進める。 様々なパラメーターを変えて合成を行い、A型ゼオライトとフォージャサイト型ゼオライトを作りわけができる条件を確定した。その結果をもとに、結晶化に先立つ非晶質前駆体の構造解析を行った。まずNMRを用いることにより、Siの最近接原子の情報を得た。これ踏まえて第二近接を含むリング構造の評価を目指して、ラマン分光を行ったが、分解能の問題で明確な差異を見いだすことはできなかった。そこで、放射光施設Spring-8において、高エネルギーX線回折を行った。平成15年6月、9月、平成16年3月と年度内に3回のビームタイムを得ることができた。6月と9月の実験から、両者の前駆体には明確な差異を見いだすことができた。現在Reverse Monte Carlo Simulationを用いて詳細な検討を進めている段階であるが、 ・ゼオライト結晶化に先立ち、結晶と類似したリングサイズの分布が存在すること ・Alが添加されると奇数員環の生成が抑制されること がわかってきた。ゼオライト合成の幕あけから半世紀がたつが、当初よりの夢であった前駆体の理解に向けて大きな前進であると考えている。 核発生から結晶成長に至るすべての結晶化過程をin-situ測定により解明することを目的に、USAXS-SAXS-WAXSの同時測定を計画したが、EUのESRFでのビームタイムが取れなかったため、まずSAXS-WAXSの測定を英国Daresbury Laboratoryで行った。詳細を現在解析中であるが、 ・3nmのprimary unitが生成し、引き続き11nmのSecondary unitが生成すること ・Secondary unitの濃度がピークを示すときにブラッグ回折が認められること ・結晶はその後直線的に成長すること がわかった。ゼオライトの核生成の特徴を検討するために非常に有用な結果であると考えている。
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