触媒反応器としてのマイクロリアクター設計に当たっては、マイクロチャンネル内に精密な触媒反応場をいかに構築するかが大きな課題である。本研究では、シリコン基板上に作製したマイクロチャンネルの内部に直接触媒活性点を構築する手法を開発することを目的とした。 まず、フォトリソグラフィー法とアミンによる湿式エッチングにより任意の形状のマイクロチャンネルをシリコン基板上に深さ100ミクロン程度まで作製する技術を習得した。さらに、多接点の陽極接合法を用いて、チャンネル上にパイレックスガラス製の覆いを固定化し、マイクロリアクターを作製した。 触媒のスクリーニングは触媒成分をシリコン小片の上に担持して行った。パイレックス製のガラス管に小片を充填し、通常の流通管型反応器中で、プロパンの脱水素によるプロピレンの生成反応をモデルとしておこなった。 シリコン基板を1000℃で空気中にて加熱し、表面にSiO薄膜を形成させてから、塩化白金酸水溶液を担持した。乾燥後、反応器中で水素前処理を行ってから反応に供した。酸化前処理時間を変化させたところ反応性に影響を与えることがわかった。6時間処理が、最も高い活性を与えた。処理時間はSiO2層の厚みに影響を与えることから、活性の促進にはSiO2層の厚みに最適地があるものと推定された。 また、6時間処理の基板上に、超音波で発生させた塩化白金酸水溶液のミストを流通させ基板上に固定化したところ、注射器で溶液を滴下する含浸担持法に比べ、単位白金量あたりの反応速度が大きく向上した。
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