研究課題/領域番号 |
15360429
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前 一廣 京都大学, 工学研究科, 教授 (70192325)
|
研究分担者 |
長谷川 功 京都大学, 工学研究科, 助手 (20346092)
牧 泰輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (10293987)
|
キーワード | バイオマス / 油中脱水 / 水熱処理 / 低温ガス化 / 事前改質 |
研究概要 |
バイオマス系廃棄物から有効にエネルギー回収するために解決すべき問題点である水分除去、原料の質的変動対応、タールの発生抑制、最適ガス化条件探索などを一気に解決し高効率かつ安定に水素、COのエネルギー原料を製造するための新規前処理-二段ガス化プロセスの開発を目指し、以下の項目について検討している。 (1)バイオマス-廃油による新規脱水前処理-高カロリー化技術の開発 (2)前処理バイオマスの低温熱分解ガス化(第一段) (3)リグニンのガス化促進(第二段) 本年度は、(1)と(2)に関して、木質系バイオマスを対象に実験を行った。まず、(1)に関しては、スギを種々の温度で水熱処理、油中脱水し、処理後のバイオマスの元素組成、官能基変化、発熱量、熱分解特性などを比較した。その結果、250℃で水熱処理したのち、180℃で油中改質を行うことで、高位発熱量が35.5MJ/kgに達することが確認された。これは、瀝青炭の高位発熱量(35.2MJ/kg)に匹敵する。このとき、O/Cは、水熱時の脱水反応によってエステル架橋が生成し約50%程度低下していること、油中脱水時は約50%の体積割合で油がバイオマスに進入・膨潤することがわかった。以上の結果から、本改質により発電効率を落とさずに、任意の割合で石炭との混焼が可能となることが示唆された。 次に、(2)に関しては、リグニン定量分析を行った10種類に及ぶ各種木質バイオマスを昇温速度3000℃/sで迅速に熱分解し、そのときの生成物収率、タールの分子量分布、残存チャーの元素組成を詳細に測定した。種々検討した結果、迅速熱分解による生成物収率とH/Cに相関があること、500℃までの揮発成分はセルロース由来であることを見いだし、残存チャーの元素組成を予測できる新規チャートを提案できた。これによって、原料バイオマスの元素組成がわかれば、チャー収率及びその組成が予測する方法を確立した。
|