研究概要 |
本研究は複雑な腎臓組織を再生するため、最も実現可能な対策を考え、従来の細胞材料から出発するティシュッ・エンジニアリング技術を超えて、未来型の腎組織化を目指し、in vitroでの構築技術の開発を目的とする。平成15年11月6日に15年度の研究補助金交付の追加決定通知を受けてから、短期間で実験装置の作成と実験必要な材料を調達した。実験装置において、当初自作予定したDisposable振盪式膜培養装置は、学内の工作センターが科学研究費を受け付けできないため、学内工作センターの自作したブループリントを持参して、NASDA宇宙センターの装置開発部門まで相談しに行った。そこで自作の代わりに、シンセコン社(トミ社輸入)の3次元細胞培養システムを勧められ、この微小重力を調整できる装置を発注し、平成16年3月に納品した。 同時に、実験材料としては、胎生期11.5日から21日の妊娠マウスを飼育した。100〜1000倍拡大倍率の実体顕微鏡を用いて、マウス腎臓発生過程に最も重要な後腎、すなわち将来複雑な尿管、腎孟、腎杯、集合細胞を形成する尿管芽、ならびに将来ボーマン嚢、糸球体を形成する間質細胞を含む組織を、顕微鏡下で分離した。分離した組織を、タイプI,IV,Vコラーゲンのコートした培養プレートおよびtranswell上で培養し、コラーゲンナーゼの処理により、尿管芽の伸展および分枝が顕微鏡に観察されたため、初期の実験が成功した。 また、平成15年12月にアメリカの細胞生物学会に参加し、本研究に関連する培養装置、培養条件と技術手法の情報を収集し、今後研究の進みに新たなヒントを得た。 本研究は補助金交付の通知を受け取ってから今まで、4ヶ月しか過ぎていないので、研究発表はまだない。
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