研究課題
細胞を用いる従来の有用物質生産法の問題点を排除した新規な生産システムの開発を目指し、細胞に代わる新たな有用物質生産の担い手として、微生物や植物の細胞壁を除去したプロトプラストの優れた機能に着目し、本研究を遂行した。プロトプラストは細胞とは異なる生物機能を活性化するが、その詳細は明らかにされていない。前年度に引き続き、酵母DNAマイクロアレーを用いて酵母のプロトプラストと細胞の遺伝子の発現の違いを解析してゆく中で、酵母プロトプラストではタンパク質などの代謝産物の分泌経路が活性化され、培養液中に分泌生産されることを明確にし、スクリーニングした物質生産に優れた人工細胞壁をプロトプラストに装着して培養することで、酵母細胞に比べて数十倍の高濃度、高速度で培養液中に酵素(インベルターゼやαグルコシダーゼ)を分泌生産できた。また、本システムをクチナーゼの遺伝子を導入した組換え酵母プロトプラストや組換え大腸菌プロトプラストに適用した結果、クチナーゼが効率的に分泌生産され、本法が組換え体を用いた異種タンパク生産においても有用であることが示された。植物プロトプラストについてもイチイのプロトプラストが新たな培養環境に接する時に示す適応反応や細胞壁を除去した場合の物質移動速度や移動物質の種類や変動などの特性を基礎的に把握した。また、イチイの細胞壁近傍に微量に存在する有用代謝産物をターゲットに、それらの生産に適した植物用の人工細胞壁を開発し、イチイプロトプラストに装着して培養した結果、効率的な分泌生産を行える可能性が得られた。
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