研究課題/領域番号 |
15360439
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本多 裕之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70209328)
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研究分担者 |
井藤 彰 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60345915)
国松 己歳 名古屋女子大学, 家政学部, 教授 (70145746)
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キーワード | ペプチド / プロテオミクス / ガン / 免疫賦活 / ペプチドチップ / 網羅的 / Angiotensin II / Fas ligand |
研究概要 |
ペプチドは、タンパク質の一部でありながら構造が単純で、合成が容易で、機能性分子として幅広い応用が期待されている。 本研究では、1枚のチップ上で数千種類ものペプチドの機能を網羅的に解析できるペプチドチップシステムを確立し、そのデータを用いて計算科学的に解析し、新規な機能性ペプチドを設計するための手法、デザイナブルプロテオミクスを確立することを目的とし、下記の二つの検討を行った。 1)ペプチドチップの作製と既知のレセプターエピトープ解析による性能評価 (1)ペプチドVVIVIYの発見 体内における昇圧分子を標的化し、その機能を阻害することで降圧効果を与えるペプチドドラッグの設計を行った。具体的には、高血圧に深く関与するAngiotensin IIペプチドを標的とし、その受容体配列中からリガンドに最も強く結合するペプチドドメインVVIVIYを発見した。ラットを用いたバイオアッセイにより、このペプチドの降圧効果を確認した。 (2)細胞アッセイ法の開発と細胞死ペプチドの発見 解析ペプチドチップシステムを改良し、細胞に対するペプチドの効果を網羅的にアッセイする技術を確立した。これを用いて、細胞死のシグナル分子であるFas ligand配列中から、特異的にガン細胞を殺すペプチドCNNLPを発見した。 2)ペプチド間相互作用の解析 VVIVIYの配列のうち、1残基を他のアミノ酸に置換したペプチドを解析した結果、(1)1残基目および2残基目に嵩高いアミノ酸残基があるほうが良い、(2)陽電荷をもつアミノ酸残基が含まれたほうが良い、という二つの知識を解明することができた。 また、MHCクラスII分子に結合しやすいペプチドを探索するHMMモデルを開発し、結合・非結合が示された既存のデータベースから、ROCカーブのAUC値が90%以上を示す精度の高いモデルが構築できた。このモデルを使えば、癌免疫ペプチドの1次スクリーニングに利用できる。 今後は、確立されたシステムを用いて、免疫賦活に関与するペプチドのデザインを行う。
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