再生・循環型宇宙システムのための宇宙ロボティクスの研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15360445
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 町田 和雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40345088)
• 研究分担者: 矢入 健久 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (90313189)
• キーワード: 宇宙ロボット / セル型衛星 / 能動診断 / 軌道上サービス

研究概要

持続的に発展する循環型社会の実現が求められてきている。宇宙開発においても、宇宙への輸送には多大なコストを必要とするため、宇宙活動の質を落とさず世界に伍したものとして持続的に発展させていくため、再生・循環型の宇宙システムへの構造転換を視野に入れた研究が重要と考えられる。ここでは、宇宙ロボットにより再生・循環型の宇宙システムの実現をサポートするための基礎技術を習得することを目的に、これに必要な人工知能技術とテレロボティクス技術の研究を行う。
今年度の研究実績は以下のとおりである。
1)再生・循環システムのモデルケースとして、ロボットを有した母船型地球観測プラットフォームとそこから繰り返し発進・帰還するオンデマンド観測の再利用小型観測衛星からなるシステムを想定し、そのシステム解析を行った。その結果に基づき、衛星を多数の細胞から構成することにより「衛星を軌道上で再成可能にする」セル型衛星を提案し、ロボットフレンドリーなセルの構造設計およびその部分試作を行った。このコンセプトは、衛星は燃料不足や機器交換などの必要に応じて母船に帰還し、そこのロボットにより衛生のセル交換やセル組み換えなどのメンテナンス作業を受け、再び軌道上に配備されるというサイクルを繰り返すものである。
2)上記の宇宙システムの実験用装置として無重力状態を2次元的に模擬する装置を整備した。
3)衛星の健康状態を知るため、ロボットに診断センサを持たせ、能動的に診断する技術の研究を行った。ロボットによりAEセンサ信号を処理しつつ自律的に構造診断する方法の有効性を実験的に示した。

研究成果

• [文献書誌] K.Machida: "Space Test of Sensor-Fused Telerobotics for High Precision Tasks"Journal of Spacecraft & Rockets. 41・1(in press). (2004)
• [文献書誌] T.Iwata, Y.Motomura, K.Machida: "Satellite Malfunction Analysis Using a Knowledge-Based Approach"Trans.JSASS Space Tech.Japan. Vol.1. 1-10 (2003)
• [文献書誌] T.Iwata, Y.Nishimura, M.Sugita, K.Machida: "Basic Experiments of Satellite Diagnosis Using Space Robots with Acoustic Emission Sensors"Proc.of AIAA Conference of GNC. AIAA-2003-5428. 1-11 (2003)
• [文献書誌] Y.Ooi, K.Machida, Y.toda, F.Ozaki, J.Oaki, K.Yoshida: "Capture Experiment of Rotational Satellite Using In-Orbit Maintenance Vehicle"Proc.of i-SAIRAS. AS37(CD-ROM). 1-6 (2003)
• [文献書誌] S.Ogasawara, T.Yairi, N.Ishihama, K.Hori, S.Nakasuka: "Automatic Summarization of Spacecrafts' House-keeping Data"Proc.of i-SAIRAS. AS10(CD-ROM). 1-8 (2003)
• [文献書誌] 河原, 田中, 町田: "再構成・再利用が可能なセル型衛星に関する研究"第47回宇宙科学技術連合講演会講演集. 3E10(CD-ROM). 1-4 (2003)