本年度は以下の作業を行った。 1.米国における軌道決定に関する状況の調査のため、第14回Space Flight Mechanics Meetingに出席、相対VLBIの1手法であるDDORについて調査し、その有効性について確認した。 2.既存軌道決定ソフトウェアISSOPを改修し、VLBIデータを処理出来るようにした。 3.CRL、国土地理院との共同で、「はやぶさ」のVLBIデータを取得し、データの質の検討を行った。参加した局は、JAXA臼田局、CRL鹿島局、国土地理院筑波局である。 ISSOPにおいて、既存のレンジデータ及びレンジレイトデータと、このVLBIデータとを合わせて軌道決定処理を行い、VLBI生データ処理との互換性の検討及びその結果を反映した修正を行った。 現在、様々な誤差要因を取り除いたVLBIデータの質としては、数10nsecのばらつきが存在している。 今後さらに、誤差要因を検討し、質の向上を図っていく予定である。 4.国内外の複数局を使った電波航法の検討を行い、以下の結論を得た。 ・海外局としては、JAXA地球周回用局の所在地の中で南米チリのサンチャゴ局が、深宇宙探査機の軌道決定において、臼田局との連携で、可視性の向上、並びに軌道決定精度向上がはかられる。 ・国内局として、内之浦局をVLBI局として整備すれば、臼田局との組み合わせで、軌道決定精度向上がはかられる。但し、VLBIデータの質としては、1nsecが望まれる。 5.前4項の結果を受け、内之浦局をVLBI試験局とするために、設備、備品の調達を行った。来年度、整備を行い、「はやぶさ」の臼田局-内之浦局のVLBIデータ取得を行う予定である
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