研究概要 |
本年度は以下の作業を行った。 1.昨年度実施の相対VLBI観測の評価解析 情報通信研究機構(NICT)との共同で昨年度実施した「はやぶさ」を対象とした相対VLBI実験の評価解析を行なった。 ・位相遅延を利用した解析 2005年11月4日から25日の「はやぶさ」のITOKAWAへのタッチダウンの時期にVLBI観測を実施した。位相遅延量を利用する場合、位相周期の整数倍の不定性があるため、遅延量の絶対量の計測が困難であるが、ITOKAWAは軌道が充分な精度で求められており、不定性を0として処理した。その結果、国内基線でも軌道決定の精度向上に役立つ精度である、100p秒(3cm)の遅延精度が得ることが出来た。 ・郡遅延を利用した解析 VLBI精度は、VLBIで使用する信号が離れていればいるほど精度が良いが、現状のレンジ信号を利用するのでは、1MHzが最大である。また、VLBIの基線が国内だけでは、精度の向上は困難である。 従って、JPL, ESAのシステム(DDOR)との互換が必須となる。 2.「はやぶさ」を対象としたDDOR信号の受信 DDORとの互換を調査するため、3/7,8 JPLが実施したDDOR観測に参加し、臼田64mでDDOR信号を、IP-VLBIシステムにより、受信した。現在評価を実行中。 3.臼田64mの測地VLBI実験 VLBI観測に必要な臼田64mの局位置を数cmの精度で決定するため、6/23-24に、国土地理院の協力により、臼田64mの測地VLBI実験を実施し、1σ=1cmの精度で、局位置が求められた。
|