研究概要 |
1.国内外の複数局を使った電波航法の検討 海外局としては、JAXA地球周回用局の所在地の中で南米チリのサンチャゴ局が、深宇宙探査機の軌道決定において、臼田局との連携で、可視性の向上、並びに軌道決定精度向上がはかられる。国内局として、内之浦局をVLBI局として整備すれば、臼田局との組み合わせで、軌道決定精度向上がはかられる。 2.国内VLBI局の整備 内之浦34m局をVLBI局として整備し、臼田64m局とあわせJAXA内でVLBIの2局体制が確立した。 3.「のぞみ」を対象としたVLBI実験 「のぞみ」もちいたVLBI観測を行い、相対VLBI技術の習得とともに、計測時の問題点が明らかになった。 4.「はやぶさ」を対象としたVLBI実験 (1)群遅延を利用した解析 ・テレメトリ信号とレンジ信号とを比較し、レンジ信号の方がより高い遅延分解能をも持つ事が明らかになった。 ・VLBIで使用する信号が離れていればいるほど精度が良いが、現状のレンジ信号を用いるのでは、1MHzが最大である。精度向上のためには、信号の幅を広げるとともに、海外局の利用が必要であり、JPL, ESAの相対VLBIシステムとの互換が必須となる。 JAXAでは、NICTが開発したK-5システムを採用しており、今後、本研究の成果を踏まえ、宇宙データシステム諮問委員会(CCSDS)での相対VLBIシステム標準化の動向を考慮して、JPL, ESAのシステムとのデータ変換システムを開発していく予定である。 (2)位相遅延を利用した解析 位相遅延量を利用する場合、位相周期の整数倍の不定性があるため、遅延量の絶対量の計測が困難であるが、2005年11月の「はやぶさ」の小惑星ITOKAWAへの接近時にVLBI観測行い、ITOKAWAは軌道が充分な精度で求められているので、不定性を0として解析した。その結果、国内基線でも軌道決定の精度向上に役立つ精度である、100p秒(3cm)の遅延精度が得ることが出来た。
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