研究概要 |
本年度は長周期重力波浪を観測するためのGPS観測システムにおいて,信号処理方法およびハードウェアー構成をより充実させ、さらに基地局-移動局間無線によるデータ伝送によって実時間に近い計測が可能となるように検討およびシステムを構築することで,複数のGPS受信機(一つは陸上に固定,他はアレー配置したブイ上に設置)を用い,長周期重力波浪の波向き計測についてテレメトリー観測が可能であるシステム構築を行った.具体的には,本システムの作動ならびに波向き推定精度を検証するために,本学部2号館屋上に陸上基地局を,さらに係留池にGPSブイを設置し,約200m程度の無線伝送であるが実験を行い,作動および波向き推定精度を確認した.また,台風発生時である9月初旬に長周期重力波を観測できる可能性が高い鹿児島県志布志湾内において本観測システムを用いた実験を行った.結果は現在解析中であるが実験を実施した時期がちょうど台風が通過した直後であったことから,解析結果が本研究課題にとっておおいに期待できる. そこで次年度は、今年度において信号処理方法およびハードウェア-構成を充実させ、さらに基地局-移動局間無線によるデータ伝送によって実時間に近い計測が可能となるように検討およびシステムを構築した結果を受けて,夏期に長周期重力波の影響を多く受けると考えられる鹿児島県志布志港において,港付近の数点で長周期重力波浪の精度良い波情報の計測を行うと同時に港内に係留しているフェリーの船上に同様のGPS受信機を設置し,港内係留船舶の動揺への影響について計測を行う.これら重力波が与える船舶動揺の特性に関する解析を行う.そこで,研究経費は実験実施およびデータ解析のために必要な費用に用いる.
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