研究概要 |
船舶海洋構造物の応力測定においては歪みゲージが多く用いられているが,歪ゲージはスポット的歪み測定になりがちであった。すなわち,領域内の応力分布測定や,境界線(あるいは境界面)に沿った応力分布の測定は容易でなかった。そこで本研究では絶縁材料のテープに矩形の圧電材料を多数配置することにより,テープ長さ方向の各所で歪み分布を測定できるテープ状センサの開発を行った。試作したテープは次の2種類である。 (1)幅5mm,長さ60mmのポリイミドテープに長さ2.5mm,幅5mmの高分子圧電材料PVDFを,テープ長さに対してPVDFの異方性主軸の向きが0度,45度,90度になるように3枚配置し,これを7回繰り返して合計21枚箇所の歪み測定点を有するもの。 (2) 幅20mm,長さ60mmのポリイミドテープに,異方性主軸の向きが0度,45度,90度になるように切り出した幅5mm,長さ60mmのPVDFを3枚平行に配置し,その上面の任意の点で歪み測定が可能なもの。 これらのテープセンサを切欠き材,及び亀裂材の応力集中部を囲む形態に複数接着し,応力集中部の周辺の境界応力分布を測定し,こうして求めた境界応力分布を有限要素法解析の境界節点力として用いることにより,切欠き材や亀裂材の局部応力解析が可能なことを示した。 また,微小なPVDFの上面で歪みに比例する電位を計測できる表面電位計用プローブキャップを試作し,種々の試作を行った結果,1x1mm正方形程度の微小領域の表面電位を測定できるプローブキャップを開発することができた。このプローブキャップを用いると,構造部材に圧電材料を接着し,その上面の任意の微小領域の歪みを電気配線を施すことなく測定できるようになった。
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