研究概要 |
1.Advanced Design by Analysisの観点から,ポンツーン型超大型浮体の局部防撓パネルの崩壊強度限界状態に対する信頼性評価と感度解析に基づく初期構造設計法の検討を行った.まず,長波理論を用いた流力弾性解析を基に短期不規則波浪中での浮体の縦通部材に働く曲げおよびせん断の複合荷重を推定した.次に,浮体底板には水圧も作用することを考慮して,これらの複合荷重を受ける防撓パネルの圧壊強度推定式を提案した.続いて,非線形有限要素法を用いて,本推定式の妥当性を確かめた.また,上記推定式を基に浮体各部の圧壊強度限界状態基準式を導いた.さらに,5,000m級試設計浮体に適用して,板厚,縦通隔壁間隔等の設計パラメータを変化させて信頼性とそれに基づく感度解析を実施した.これらの結果に対する考察から初期構造設計における本システムの有効性を確かめた. 2.また,長波理論を用いた流力弾性解析を基に,斜波中における浮体の各部材に働く曲げ,ねじりおよび剪断の複合荷重を推定した.これより,応答曲率(相当曲率)に上限値が存在する可能性を示すとともに,これを基準に構造寸法を設定することができれば,初期構造設計に有益であることを示唆した. 3.浮体式海洋構造物の継ぎ手部の疲労強度に関する基礎的研究として,鋼材の繰り返し引張圧縮荷重下における疲労過程の追跡を行い,発熱による疲労損傷評価について実験を中心とした検討を行った. 4.腐食による板厚衰耗と防撓材溶接部の剥がれが防撓板の圧壊強度に及ぼす影響について非線形有限要素法による検討を行った.また,これらの結果を基に,簡易推定式の構築を行った. 5.曲げと圧縮をうける円筒柱の崩壊挙動に及ぼす衰耗の影響の評価法について,衰耗による塑性中立軸の移動を初期たわみと仮定した簡易推定式を提示した.また,一部については,非線形有限要素法解析による詳細な解析結果との比較を行い,簡易推定式の妥当性を考察した.
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