現行の使用済みガラスびんのリサイクルシステムでは回収後に前処理として粉砕と異物除去をおこない、ガラスびんの原料として利用できるカレットにした後にリサイクルを行う。近年、各市町村において分別回収などが積極的に行われ、カレット利用率は80%程度迄に上昇した。しかし、なお余剰なカレットは年間40万トン近く排出されている。又、近年カレットを作製する際に排出される微細ガラス紛の処理も問題となっている。そのため、カレット及び微細ガラス紛をガラスびん以外の用途に利用する他用途利用を講じなくてはならないのが現状である。 本研究では、水熱ホットプレス法を用いた低温域(300℃以下)でのガラスカレット及びガラス微細粉末の再資源化に的をしぼり、ガラスカレット及び粉末を原料とした建材などへの利用が考慮される人工の岩石を作製することを目的とした。 サンプルピースを作製し各種水熱条件下における廃ガラスの水和速度、結晶化挙動等を検討した。表面に生成した変質層の形態を、SEM、XRD、IR等により反応生成物の構造解析及び観察を行い、廃ガラス粉末を水熱条件下で固化させる際の基礎となる知見を得た。同様に、粉末状試料を水熱条件下で反応させ、カレット状試料と粉末状試料の反応性の差異についての基礎となる知見を得た。サンプルに、水熱ホットプレス法による低温焼結技術の適用を行ったところ、非常に引張強度の高い焼結体を得たことから、建材などへの応用展開の可能性が高く示された。
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