1.汚泥ケークの可溶化処理 余剰汚泥ケークならびに下水処理場より排出される脱水汚泥ケークを対象として、気泡析出処理、凍結融解処理、オートクレーブ処理、過酸化水素処理、オゾン処理を行い、それぞれの可溶化特性を、MLVSS単位質量当たりの可溶化TOC質量で定義した可溶化率により評価した。 (1)脱水汚泥ケークの含水率は約50%、余剰汚泥ケークの含水率は約90%であった。脱水汚泥ケークを対象とした場合、過酸化水素およびオートクレーブ処理の可溶化率はいずれも5%、オゾン、気泡析出、凍結融解の可溶化率はいずれも1%以下であった。 (2)余剰汚泥ケークを対象とした場合、過酸化水素およびオートクレーブ処理の可溶化率は脱水汚泥ケークの場合の約2倍に増加した。オゾン、気泡析出処理の可溶化率は脱水ケークの場合と同程度であった。凍結融解処理の可溶化率は約3%であった。過酸化水素、オートクレーブ、凍結融解処理の可溶化率はケーク含水率の影響を受けやすいこと、気泡析出、オゾン処理は含水率の影響を受けにくいことを明らかにした。 2.汚泥ケークを基質とした固体培養によるBacillus thuringiensisの胞子形成 (1)脱水汚泥ケークを基質としたBacillus thuringiensisの固体培養が可能であり、胞子濃度の変化より殺虫性毒素の生産が可能であることが示唆された。 (2)凍結融解、過酸化水素処理ケークを用いた場合の最大胞子濃度はオートクレーブ処理ケークの場合と同等であった。これらの処理では可溶化処理の有効性を明らかにすることはできなかった。 (3)気泡析出処理ケークの最大胞子濃度はオートクレーブ処理の場合に比べ2オーダー程度高かった。 (4)オゾン処理ケークの最大胞子濃度はオートクレーブ処理の場合に比べ低かった。 (5)汚泥ケークの前処理の可溶化率と最大胞子濃度の間には相関関係が認められなかった。
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