研究課題/領域番号 |
15360485
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
芝田 隼次 関西大学, 工学部, 教授 (70067742)
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研究分担者 |
田中 幹也 産業技術総合研究所, 環境調和技術研究部門・金属回収グループ, グループ長
村山 憲弘 関西大学, 工学部, 助手 (90340653)
山本 秀樹 関西大学, 工学部, 助教授 (30174808)
若松 貴英 名城大学, 都市情報学部, 教授 (50025897)
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キーワード | IT関連産業 / シリコンウエハー / エッチング廃液 / 溶媒抽出 / 混酸廃液 / 分離操作 |
研究概要 |
種々のIT関連産業、特に液晶や半導体などの電子部品の製造工程からいろいろな固体廃棄物や液体廃棄物が排出される。それらの廃棄物からの有価物の回収には、選鉱・冶金技術を適用することができる。この研究では、シリコンウエハの製造工程から排出される硝酸-酢酸-フッ酸の酸混合物に溶媒抽出法を適用して、各酸として分離・回収するプロセスの開発と液晶製造工程から排出されるリン酸-酢酸-硝酸の酸混合物に溶媒抽出法を適用して、各酸として分離・回収するプロセスを開発することを目的としている。 初年度には、半導体製造工程から発生する硝酸を主成分とする酸廃棄物の処理プロセスの開発研究を行った。硝酸、酢酸、フッ酸の単味溶液を対象として、2-エチルヘキシルアルコール、TBP(トリブチルホスフェート)およびTOP(トリオクチルホスフェート)による抽出と剥離の基礎試験を行った。その結果、酢酸の抽出には2-エチルヘキシルアルコールが適していること、硝酸とフッ酸の抽出には、TBPとTOPが適していることを明らかにした。これらの酸の抽出は物理的な分配現象であって、通常の金属イオンの溶媒抽出のように抽出と剥離の工程だけでは分離が困難であった。抽出、洗浄、剥離の3工程を用いることによって、酸の分離が達成できることを明らかにした。また、有機相に抽出された酸の剥離は水で行う以外に方法は存在しない。酸の抽出等温線と水による剥離等温線は理論的にも実験的にもほとんど重なるので、抽出、洗浄、剥離の3工程により酸の分離はできるが、濃縮は不可能である。洗浄工程による有機相からの不純物酸の除去では、液バランスが重要であり、洗浄段数を多くとり、相比(有機相体積/水相体積)を大きくとることが不純物の洗浄と液バランスを両立させる方法である。得られた基礎実験の成果から液バランスを考慮した分離回収プロセスの構築を行った。それぞれ抽出、洗浄、剥離の3工程での分離のための理論抽出段数と理論剥離段数、それぞれの工程での相比(有機相体積/水相体積)を求めて、半導体製造工程から発生する硝酸を主成分とする酸廃棄物の処理プロセスを確立した。
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