磁場閉じ込め型核融合炉の建設・保守の大きな障害となっている超伝導マグネットをモジュール化するための基礎技術となる超伝導線材の直接接合方法によるマグネット製作の可能性を定量的に明らかにするために、クライオスタット・電源および荷重制御機構を備えた実験システムを組み立て、積層高温超伝導ケーブルの直接接合に関する基礎的性能評価試験を実施した。その結果、1.実際のマグネットで考えている電磁力による接合力と同じ方向である積層テープに垂直な方向の荷重によっても接合抵抗を低減できること、2.100MPa以上の圧縮荷重では超伝導線材の性能劣化(臨界電流密度の低下)が起こること、3.直接接合部の抵抗値が極小となる応力値が存在し、その値は応力の増加に伴う接合部分の接触抵抗の減少と超伝導体の劣化の大小関係によって決定されること、4.10層重ねの高温超伝導ケーブルにおける直接接合抵抗は一層あたり約36μΩであり、単層で得られた最高値より1桁大きくなっているが、この原因として電源からの電流の各層への分流がうまく行われておらず、限られた超伝導テープにしか電流が流れていない可能性があること、が明らかとなった。また、単層の実験で得られていた直接接合抵抗の電流値依存性は、5.磁束流の影響を考慮しても発熱による温度上昇が非常に少なく、接合部での温度上昇に起因する現象では無いこと、6.接合面加工時の超伝導フィラメントの性能劣化(臨界電流密度の低下)のため、本来超伝導フィラメントに流れるべき電流の一部が安定化材に迂回することによって生じている可能性があること、が、数値解析を実施した結果明らかとなった。さらに、分割型第一壁設計のための基礎研究を行った結果、7.乱流条件下におけるMHD伝熱特性を評価するために流れを解析するためのモデルとして、磁場に関する混合距離モデルを構築し、ハルトマン流れについてはほぼ適用可能であること、が示された。
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