10枚積層BSCCO2223ケーブルを用いた接合実験を実施し、接合面の角度を変化させて実験を行った。実験では電流を300Aで一定としている。実験結果より、垂直応力の増加に伴い、接合面における抵抗値が減少していくことが確認できた。また、垂直応力が等しいときには接合面の角度が30°、40°、45°のときでは規格化された抵抗値はほとんど同じ値を示しているのに対して、接合面の角度が50°、60°の場合は値自体が大きくなり、接合面角度が大きいほど抵抗値も大きくなることが明らかとなった。つまり接合面の角度が50°、60°の場合においては接合部抵抗値が接合面の面積に反比例していないことを意味している。この要因として、以下のことが考えられる。すなわち、本実験においては荷重がケーブルの垂直方向から与えられ、その力が垂直応力成分とせん断応力成分に分解される仕組みとなっているが、せん断応力が垂直応力よりも大きくなるとせん断応力の影響が大きくなり接合面においてすべりが発生し、面がずれることにより抵抗が大きくなり接合性能が下がったのではと考えられる。 また、今回の実験では接合面の角度が30°のときに最小抵抗値が得られ、抵抗自体は1.26μΩとなっており過去のデータの約3倍まで性能が向上している。なお、得られた結果は現在の実験装置で負荷できる最大の荷重条件でのデータであるが、30°の場合には応力値をさらに上げることによって抵抗をさらに小さくすることが可能であると考えられる。従って、今後、装置の改良を進めることにより、分割型マグネットの設計が可能となる目標抵抗値(<1μΩ)が実現されると考えられる。
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