高温超伝導体の機械的接合の可能性について研究を実施し、以下の成果が得られてた。 1.バットジョイント法による接合を用いることによって、高温超伝導テープ同士(臨界電流値:64A、断面:4mm×0.2mm)の接続部の電気抵抗を十分に小さくできること(≒3×10^<-12>Ωm^2)が示された。 2.実験に於いて超伝導テープ接合部の電気抵抗値に電流依存性があり、数値解析による評価と併せて総合的に判断すると、電流値の増加に伴うジュール発熱による温度上昇が抵抗増加の原因でなく、超伝導フィラメントの臨界電流密度値の減少が主な要因であることが明らかとなった。 3.超伝導テープを7〜10枚積層した超伝導ケーブルを用いた接合実験の結果、断面に傾斜を設けた場合の方が接合性能は良く、30度〜45度程度の時に最適になることが示された。 4.接合箇所が4カ所のプロトタイプの分割型マグネット(超伝導テープを5層重ねたケーブルを3ターン巻いたマグネット)を作成し動作することを確認した。 以上のことより、高温超伝導体を用いることによって、まず、マグネットの動作温度が4K°から77K°程度に上昇し、物質の比熱が格段に増加させることができ、その結果、低温超伝導体ではクエンチを誘起するため許容できなかった発熱をある程度まで許容することが可能となり、発生した熱を除去し、温度上昇を回避すれば分割型超伝導マグネットが実現可能であることを実証できた。
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