本申請研究では水素同位体RFプラズマを核融合炉プラズマ対向材料に照射し、再付着層やダストの生成に伴う水素同位体の取り込み量やその取り込み速度を測定するとともに、水素同位体の移行挙動を化学工学的反応工学の手法を用いて解析することを目的としている。 本年度は申請の予定に沿って2台目のRFプラズマ反応装置を設計・製作を行い、既存の装置とともに実験を行い次のような実験成果をあげた。 1.あるプラズマエネルギー条件で作成したグラファイト再付着層試料をより高いエネルギーをもつRFプラズマで照射したところ再付着層グラファイトの損耗が20%程度進んだところで再付着層に取り込まれていた水素の殆んどが放出されていることを確かめた。このことは、再付着層に取り込まれたトリチウムの放出に水素または重水素による放電洗浄が有効でありうることを示唆している。なお、グラファイト再付着層はサブミクロンの直径を持つ柱状が成長する集合体で多孔質体である。また、グラファイト再付着層に取り込まれている水素量はH/C比で0.1〜0.3と大きな値が測定された。 2.タングステン再付着層を作成したところ、再付着層はグラファイトの場合と同じく多孔質層であることが確かめられた。また、タングステンには取り込まないと想定されていた水素がH/W比で0.1という大きな値で取り込まれているという興味ある実験結果が得られた。この値は溶解度で考えられる値の14桁も大きい値であり、今後の研究に一段と弾みがついた。
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