本申請研究では水素同位体RFプラズマを核融合炉プラズマ対向材料に照射し、再付着層やダストの生成に伴う水素同位体の取り込み量やその取り込み速度を測定するとともに、水素同位体の移行挙動を化学工学的反応工学の手法を用いて解析することを目的としている。 本年度は前年度に設計製作を行い整備した2台目のRFプラズマ反応装置と既存の装置を用いて実験を行い次のような実験成果をあげた。なお、本年度は基盤に再堆積した膜を回収しそこに取り込まれた水素を測定するように測定法を改善した。 1、グラファイト再付着層もタングステン再付着層もサブミクロンの直径を持つ柱状が成長して作られる集合体で多孔質体であり、単体のターゲットで得られる再付着層中に取り込まれている水素量はH/C比で0.1〜0.3、H/W比は約0.1と大きな値が測定された。グラファイトのみの再付着層からの水素放出は600℃程度以上の高温から始まるのに対してタングステンのみからは200℃でも水素放出が始まった。しかし両者の共堆積層からの放出は300℃にしないと放出されないことを確かめた。 2、タングステンのみならずプラチナや銅のような水素溶解度が小さい金属でも、水素RFプラズマを用いて作成した再付着層には溶解度と比較して桁違いに大きな量の水素が取り込まれていることが実験的に確かめられた。タングステンには水素が殆ど溶解しないことからダイバータ材として選択されたが、本実験結果はダイバータから作られるプラズマ容器内ダストには少なからぬ量のトリチウムが含まれることが指摘される。 3、グラファイト再付着層形成の速度や水素取り込み量について実験式を作成した。
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