研究概要 |
本研究ではハイブリッド型超音波流速法を軽水炉の給水流量計として開発することを目的として,信号処理の改良と実機適用性を検討しながらシステムを構築することを目的とし,以下の知見を得た。 1.現有の超音波流速分布流速計(UVP model X3PSi 2,4,8MHz)のマルチプレクサー・モードと複数超音波センサを用いた流速分布からの流量計測システム・ソフトウェアを開発した. 2.超音波の金属壁透過を考慮する場合,壁厚さに対する超音波の最適周波数の選択が必要である.最適周波数は壁の材質,厚さおよびセンサの設置角度などに依存するため,超音波透過の基礎実験を行った.これに伴い液体および固体壁内の音速測定,超音波透過率測定,混入粒子の選定,測定線屈折の測定および最適入射角の選定を行った. 3.本実験には試験流路および測定部を製作した.ポンプ,リザーバ・タンク,整流器を含む流路は既に完成しており,測定部の設計および製作を行った.試験流路は直径50mmのアクリル製・直円管を用いた上昇流および下降流の垂直円管流路である. 4.多測定線流速分布を用いた過渡流量計測に先立ち,単一超音波センサを用いた過渡流量計測を行い,固体壁の材質の違いによる実験結果と従来の超音波計測,レーザ計測および数値解析結果との比較検討を行った. 5.現行の超音波流速分布流速計と現有の超音波パルサ・レシーバを用いて,伝播時間差型超音波流量計のプロファイルファクタを決定するシステムを構築した. 6.ハイブリッド用の超音波センサの仕様を検討し,音響インピーダンスや入射角を考慮して有限要素法による音場解析を行った上で,センサの開発を行った. 7.パルス超音波信号処理装置と高速デジタル信号処理装置を用いてハイブリッド型超音波流速計のシステム設計を行った.
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