研究概要 |
本研究では、1 既設のガンマ線検出器の一部を更新して感度を2倍に向上させ、2 長寿命核分裂生成物Zr-93試料の不純物同位体Zr-90,91,92,94及び同じく長寿命核分裂生成物Sn-126の不純物同位体Sn-117,118,119,120,122,124について高速中性子捕獲断面積及び捕獲ガンマ線スペクトルを精度良く系統的に測定して核データを供給し、3 測定されたデータを統一的に理論解析することによりZr及びSn同位体の高速中性子捕獲反応機構を解明して理論予測精度を向上させ、4 長寿命核分裂生成物であるZr-93及びSn-126の高速中性子捕獲断面積の精度良い評価値を与える、ことを目的としている。2年目である本年度は、上記項目の1から3について研究を遂行し以下の成果を得た。 1 更新した高感度ガンマ線検出器の総合特性試験を行い、設計通りの高性能検出器であることを確認した。また、中性子捕獲実験データ解析に必要な検出器の応答関数及び重み関数を求めた。 2 Sn-117,122,124の各同位体試料を準備した。また、Zr-90,91,92,94及びSn-117,119に対して、東京工業大学・原子炉工学研究所に設置されている3UH-HC型ペレトロン加速器、更新前及び更新後の高感度ガンマ線検出装置、及びデータ収集・処理装置を用いて、高速中性子捕獲断面積及び捕獲ガンマ線スペクトルの測定を行った。また、測定で得られたデータの処理を行った。 3 Sn-119の測定で得られた中性子捕獲断面積及び捕獲ガンマ線スペクトルについて、原子核反応における統計模型を用いて理論解析を行った。
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