研究概要 |
不安定核の原子質量を10keV程度の精度で決定するために、すでに開発した貫通型ゲルマニウム検出器の外側に配置する同時計数用BGOシンチレーション検出器を新たに作成し、その特性を測定するとともに崩壊エネルギーの測定・解析方法を検討した。 このBGOシンチレータによって、ゲルマニウム検出器を透過あるいは散乱して出てくるγ線、制動放射線を検出し、同時計数あるいは反同時計数を行いゲルマニウム検出器内で全吸収されたエネルギースペクトルを得、そこから崩壊エネルギーを決定することを目的としている。 検出器の特性を京都大学原子炉実験所の原子炉を利用し、(n,γ)反応で生成する^<27>Mg、^<42>K、^<38>Cl、^<52>V、 ^<56>Mn、^<72>Ga、^<139>Ba、^<142>Prと標準線源^<90>Sr/Yを用いて2〜5MeVの範囲で調べた。 その結果、BGOが散乱線を検出する割合は70%程度であること、BGOと同時計数したスペクトルに1/0.7の係数を乗じて、シングルスペクトルから引くことによってゲルマニウム検出器による全吸収スペクトルを再現できることがわかった。また、モンテカルロシミュレーション(EGS4)を用いて単色電子線および単色γ線のアンフォールディングを行い、崩壊エネルギーを15keV程度の精度で決定できる解析手法を開発した。 以上のオフライン実験を行いつつ、来年度へ向けたオンライン実験の準備として、京大原子炉のオンライン同位体分離装置に差動型真空排気装置を設計・設置した。本検出器を設置した状態で真空系のテスト、テープ式不安定核捕集装置の動作テストを行い、正常に作動していることを確認した。
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