研究概要 |
InSb結晶の成長を行った.先端が約45度で,内径が約7mmの石英管にInおよびSbを詰めて封入し,垂直ブリッジマン法によって電気炉で結晶化させた.まだ単結晶とはなっていないが,スライスした部分を顕微鏡で観察すると,数mm角程度の領域では単結晶領域が確認できた.結晶材料を清浄な環境で石英管に封入するため,グローブボックスをArガスでパージし,雰囲気中の水分含有量を低減しモニタするシステムの製作を行った. 一方,検出器製作においては,これまで作成したよりも小さい,直径約2mmの電極を持つn型ショットキーInSb検出器を作成した.約6x10mmのInSbウエハをエッチングした後,ショットキー電極として金を蒸着した.その後,リングラフによって直径2mmの電極を定義し,それ以外の部分をエッチングによって削り取った.さらに,電極以外の部分をSiO2で保護し,漏れ電流を低減した.この検出器の電流電圧特性を測定し,4.2Kにおいて約3kΩの抵抗を持つことが分かった.これを用いて,Am-241のガンマ線観察を試みた.クライオスタットに検出器を配置し,液体ヘリウムによって冷却を行った.Am-241線源は,クライオスタットの外部に置き,Beウインドウを通して検出器を照射した.電気雑音よりも大きなガンマ線の信号が得られ,初めてInSb検出器で光子測定ができた. また,以前製作したundoped型InSb検出器でもガンマ線の観測を行った.この検出器の電極直径は3mmあるが,抵抗値が高い.これより現在のところ,光子観測のためには抵抗値が高い素子が有望であることが分かった.
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