研究課題/領域番号 |
15360508
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研究機関 | 特殊法人日本原子力研究所 |
研究代表者 |
大貫 敏彦 特殊法人日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 主任研究員 (20354904)
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研究分担者 |
吉田 崇宏 特殊法人日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 博士研究員 (90360429)
尾崎 卓郎 特殊法人日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 研究員 (50322673)
坂本 文徳 特殊法人日本原子力研究所, 先端基礎研究センター, 研究員 (60391273)
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キーワード | マイクロチップ / XANES / 吸着 / 酸化還元 / Pu |
研究概要 |
マイクロチップを用いてアクチノイドの化学状態のその場観察を行うための装置を開発するため、予備的検討として5mmの経路を有する連続流入型の、元素の酸化数をその場で解析できる装置を開発した。XANESスペクトルにより、CeのIII価-IV価反応をその場解析した結果、Ce溶液とシデロフォア(DFO)溶液を混合させて、CeのIII価からIV価への酸化反応による酸化数の変化を明確に捉えることに成功した。システムでは、ポンプによりそれぞれの溶液を吸引し、混合点において両溶液を混合し、XANESの測定点に一定速度で送液した。酸化数の測定は、高エネルギー研究機構、放射光施設BL27Bラインで行った。XANESスペクトル測定では、蛍光X線を7素子半導体検出器により検出した。測定では、CeのL_<III>吸収端付近のスペクトルを測定した。 次に、Pu(VI)の酵母への吸着・脱離実験を行った。酸化数を6価に調整したPu溶液4x10^<-4>Mを2.5mg/Lの休眠状態の酵母と2日間接触させた。その結果、吸着したPuの酸化数はIVに還元した。Puを吸着した酵母試料を、酵母を培養した後の残差培養液に加えたところ、50%以上のPuが溶液中に脱離した。この結果から、酵母の代謝生成物はPu(IV)を可溶化させることが分かった。したがって、地層中において移行し難いと考えられているPu(IV)は微生物の代謝生成物との接触により地下水とともに移行する化学状態に変わる可能性があることが示唆された。 さらに、Eu(III)-クエン酸錯体の蛍光菌への吸着実験を行い、EuはpH3でほぼ100%が吸着し、中性になるに従い吸着量は減少した。Euとクエン酸濃度比が小さくなるに従いEuの吸着は阻害された。この結果は、III価希土類あるいはアクチノイドは有機酸の存在により地下水を移行しやすい化学状態になることを示している。
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