研究課題
基盤研究(B)
本研究は、植物の多様な繁殖システムをポリネーションの見地から解明することを目的とした。植物の花蜜分布がポリネーターの行動に及ぼす影響を、人工花序を用いた屋内実験により調べた.様々な花蜜分布に対するマルハナバチの花序内移動パタンと滞在時間を詳細に記録して解析した結果、花蜜分配様式は昆虫の行動に強く作用し、その影響は花序形態により変化することが示された。すなわち花蜜分泌様式は、花粉散布戦略であることが示された。野外実験では以下の事柄について調べた。1.花色変化するウコンウツギへのマルハナバチの訪花様式を解析し、花色変化は植物の花粉散布であることを解明した。2.盗蜜型と正当訪花型のマルハナバチがエゾエンゴサクの繁殖成功に及ぼす影響について解析し、花序内性配分様式が個体群間で異なることを見いだした。3.開花時期が自殖率や花粉親多様度に及ぼす影響を高山植物キバナシャクナゲ個体群で調べた。季節的な訪花昆虫の行動の違いは、送粉効率や生産種子の遺伝的多様度に大きく影響することが示された。4.森林性植物で種子生産の制限要因を調べた。春植物は一般に高い結実率を達成しているが、マルハナバチ媒花はハエ媒花植物に比べて結実率の年変動が大きかった。初夏に開花する植物は一般に結実が低く、光資源により結実が制限されていた。林床が暗くなってから開花結実する夏〜秋咲き植物は一般に結実率が高いが、ハチ媒花植物は花粉制限を受け易かった。光環境に応じた開花フェノロジーグループ毎に共通の結実特性が認められた。5.クローナル植物スズランを対象として繁殖戦略に関わる調査を行った。人工交配実験の結果、同一クローン内の花序間の受粉ではほとんど種子は結実しなかった。また、結実率は近隣にある和合花粉を持つ異なるクローンの花数により大きく左右されていた。クローン成長の程度は、花粉媒介者を誘引する花密度に影響を及ぼし、和合花粉の供給効率や種子繁殖を通じた個体の繁殖成功に影響を及ぼすことが示された。
すべて 2006 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (30件)
American Journal of Botany 93
ページ: 134-141
Plant Species Biology 21
ページ: 1-12
Molecular Ecology 15
ページ: 1165-1173
Functional Ecology (印刷中)
Ecoscience (印刷中)
Functional Ecology (in press)
Ecoscience (in press)
Evolutionary Ecology Research 7
ページ: 73-87
Functional Ecology 19
ページ: 245-254
Behavioral Ecology and Sociobiology 57
ページ: 599-610
Plant Species Biology 20
ページ: 93-103
Evolutionary Ecology 19
ページ: 435-448
American Journal of Botany 92
ページ: 469-476
Ecological Research 20
ページ: 199-204
ページ: 149-153
Ecoscience 11
ページ: 218-227
American Journal of Botany 90
ページ: 1751-1757