研究課題/領域番号 |
15370012
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 真 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (80204494)
|
研究分担者 |
曽田 貞滋 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00192625)
洒井 章子 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (30361306)
寺池 徹 京都産業大学, 工学部, 教授 (90202192)
|
キーワード | 絶対送粉共生 / コミカンソウ科 / カンコノキ / ホソガ / 送粉 |
研究概要 |
コミカンソウ科のカンコノキ属およびその近縁属のさまざまな種を中心に、雌花の形態、植物の系統、送粉様式の確認、胚珠寄生ホソガの送粉/産卵行動・形態・系統の解明をめざし、フィールド調査と室内実験を行なった。まず、カンコノキ属の3種(カンコノキ、ウラジロカンコ、カキバカンコ)で、袋掛け・人工交配などの操作実験をもとに、自殖率、送粉効率、間引き様式などの調査を行なった。これに並行して、カンコハナホソガの生活史、胚珠利用様式、労働寄生者群集とをの寄生率などを調査した。また花の匂いの採集と、液体クロマトグラフィーによる匂い物質の分離・同定・定量・生物検定を行なった。 コミカンソウ属の送粉共生について、台湾の亜熱帯林において調査を行なった。また、マダガスカルのPhyllanthus marojejyenseなど数種の観察を行ない、絶対送粉共生系がマダガスカルにも存在していることを突き止めた。 次に、カンコノキ属とその近縁属の核遺伝子および葉緑体遺伝子の塩基配列を読み取り、系統解析を行なった。また、カンコハナホソガとその近縁種群の核遺伝子およびミトコンドリア遺伝子の塩基配列を読み取り、系統解析を行なった。カンコハナホソガの形態、特に交尾器と産卵管を詳細に観察・計測し、得られた系統樹や対応する花の形態と比較しつつ、その進化傾向について分析を加えた。これらの解析から、隠蔽種の送粉者の存在が浮かび上がってきた。 送粉偏利共生に関しては、チャルメルソウ類で、送粉様式の調査を行なった。また、チャルメルソウ類の葉緑体および核のDNAの塩基配列より、系統推定および浸透交雑の解析を行ない、送粉者が介在した種分化と、雑種形成が介在した種分化のパターンを明らかにした。
|