研究課題
植物体を構成する数十種類の細胞型(組織の種類)は、それぞれに固有の細胞壁構造を持ち、その動態を通して固有の形態と機能を発揮している。この事実は、細胞壁構築過程が、細胞型分化の基盤に係わる重要な過程の一つであることを意味している。しかし、細胞型に固有の細胞壁構築の仕組みは、未だ概要さえ掴めていない。本研究では、シロイヌナズナの細胞壁構築に関連する約1000種の遺伝子の発現特性とシス機能を包括的に比較することにより、細胞型固有の細胞壁の動態に協調的に関与する遺伝子群(遺伝子セット)を解明すると共に、それらを統括する転写制御システムの解剖を目指した研究を進め、細胞壁の動態制御という視点から、細胞分化の基本概念である細胞型のアイデンティティー決定機構解明の糸口の解明を目指した。その結果、以下の成果を得た。根で特異的な発現様式を示し、進化的にも近縁であるAtXTH17,AtXTH18,AtXTH19,AtXTH20の4つの遺伝子のプロモーター領域内に良く保存されている塩基配列が根特異的発現を促すシス活性を持つことをプロモーター解析により見いだした。これら4遺伝子は、根の中での発現組織やシグナル応答性において、それぞれ異なる発現特性を示し、異なる役割を分担していることが示唆された。AtXTH27が葉の維管束、特に前形成層細胞に特徴的な発現パターンを示すことを見いだした。この遺伝子の欠損した変異体(xth27-1,xth27-2)では、ロゼット葉の維管束の形成不全および機能不全をおこし、葉の間抹消維管束周辺の葉肉組織の壊死および三次維管束の節部機能不全を伴った。上記の成果に加え、細胞型特異的な遺伝子発現を示す細胞壁構築関連遺伝子を多数同定した。
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